右にならわない

現在建築中の現場の玄関の框(かまち)を施工しました。

今回の現場は框・床材・入口枠・窓枠などは全て既製品です。

玄関框の既製品は木材を貼り合わせた集成材の表面にシートを張ったようなものです。

純粋な無垢材と比べると一長一短ありますが、良い面は節などがでない、経年変化と呼ばれる変形や変色がおきにくい、ローコスト、などですかね。

材料が搬入されて開梱したらすぐ施工にかかれます。

表面がシート状で、その下は紙を重ね合わせたようなものが貼ってある為、柔らかいが故の加工しにくさはありますが、おそらく専門職の方じゃなくても施工出来ると思いますので、機会があれば是非DIYなどで扱ってみてください。

大工業界では昔から『材料に合わせた仕事をしろ』とよく言われます。

高価な材料を扱う時にはしっかりと手間をかけ、込み入った細工を施し、最新の注意を払って加工・取り付けを行い、安価な材料を扱う時はそれなりに簡単な方法で収めるということです。

ハウスメーカーの仕事をしている知人数人に既製品の框をどうやって収めているかを聞いたところ、全員が『柱の内間で切って柱や土台にビス止め』と答えました。

この家で生活する人全員が数十年間ほとんど毎日上がり降りをするものをビスだけでもたすのか?という質問に対しての返答は『引き渡した時に問題なかったらそれでいーんよ』とか『手間をかけるだけのお金をもらってないから』とかでした。

実際、メーカーの仕事をしている職人は全ての箇所でそういう選択をしているようです。

結果、家の価値が落ち、職人の価値が落ちていくということになっているんでしょうね。

そのような話を聞いた私ですが、右にならえ!が出来ず、やはり少々手をかける選択をしてしまいました。

既製品のため、材料の変形に対する細工はしなかったものの、人の上がり降りなどの荷受けに対する細工を施しました。

やはり自分が携わった仕事には胸を張っていたいもので...

ただ、受け取りで仕事をしている環境で、『手間をかける』『こだわる』ということは、その分『身銭を切る』ということですので、そうゆう選択をしない職人を責めることは出来ないですけどね。

【倉敷市真備町の大工が建てる】もりしげ建築工房【新築・リフォーム】

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